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(37)フシグロセンノウ(ナデシコ科)

ふしぐろせんのう草生に点るごとく咲きわれにきびしき夏すぎむとす   森村淺香
草の葉の露と清しき君がため娘等はあつむ仙翁の鮭色の花       土屋文明

 夏の林は木々の葉が茂って、樹下には人目をひく花もあまり多くありません。そのようなうす暗い所に咲くフシグロセンノウは、草丈50cmの頂に、直径5cmほどの朱赤色の花を咲かせるので、遠くからでもよく分かります。この花の色は、他に例のないユニークな色調なので、朱赤、赤橙、鮭色などの言葉では到底表現できません。
 名前は、昔、京都嵯峨の仙翁寺で作られたという栽培種の『センノウ』に似た花を咲かせる、節の黒い自生種という意味ですが、あまりしっくりしません。むしろ別名の『逢坂草(おうさかそう)』の方が、古来多くの恋歌に詠まれた歌枕が思い起こされ、優美なこの花にはふさわしいかもしれません。